F A Q



1. 歯科治療全般に関するご質問

Q1.  一回の治療時間が長くなることがあるのはなぜですか?

A.  理由は二つあります。

1) 予想外の事態

  我々歯科医師は、どの程度の治療が必要かを予測して治療に望むのですが、予想外の事態が生じることがあります。
例えば、初期のむし歯のような外観をしていたが実際に治療してみると神経にまで達していた、などという場合です。
このような場合には、予定外の治療が必要になる為に診療時間が長くなります。



2) 歯科医学の進歩

  近年、歯科医学では修復材料(詰め物)と歯質を接着させる技術が大幅に進歩しています。
この為、従来よりも、むし歯の部分だけをより厳密に削ることが我々歯科医師に要求されるようになってきました。
  むし歯の治療のうち、最初の1,2回は従来よりも治療時間が長くなる傾向になってきています
  といっても、現在では、
ほとんどのむし歯を1回の診療で治すことができます。また、麻酔が必要なケースも非常に少なくなっています。
  2回以上の診療が必要になるのは、1) むし歯が非常に広い範囲にわたっている、2) 1本の歯に深いむし歯が2ヶ所以上ある、3) むし歯が神経に達するほど深く進んでいる、などの場合に限られます。
  奥歯の広い範囲にわたったむし歯でも、1時間半から2時間程の時間をかければ、その日のうちに治療を終了することができます。



Q2. 治療にはどれくらいの期間が必要ですか?

A. むし歯の場合、むし歯にかかっている歯の数の1.5倍の治療回数、歯周病の場合は3ヶ月前後が目安です。


  むし歯の治療の場合、1ヶ所のむし歯はできる限り1度で治療を終了させることにしています。が、歯肉より深い部分や歯髄(いわゆる神経)に近い部分にまで進行したむし歯では、治療が2回以上になったり治療を完結するまでに6ヶ月ほどかかる場合もあります。また、1本の歯に2ヶ所以上のむし歯があることもあります。これらの可能性を考慮すると、むし歯にかかっている歯の数の1.5倍程度が一つの目安といえるでしょう。

  
歯周病の場合は全身疾患との関連も深く、生活習慣病の一つである為に少々複雑です。私共のオフィスでは比較的症状が軽い場合には1ヶ月半から3ヶ月、症状が重い場合には最低でも半年は必要とご説明していますが、この他、治療後の状態を維持する為に定期的なメインテナンスを必要とする場合も少なくありません。治療直後のメインテナンスは1ヶ月から3ヶ月に1回ですが、徐々に間隔をあけていき、最終的には6ヶ月から1年に1回のメインテナンスで済むようにするのが目標です。
  歯周病の治療の場合、
治療の進み方は歯磨きを主体とするプラークコントロールや生活習慣によって大きく左右されます。特に、喫煙される方の場合は、治療の成功率が著しく低くなるだけでなくメインテナンスの頻度が高くなったり治療期間が大幅に長くなることが少なくなく、症状が重ければ重いほどこの傾向は顕著なものとなります。


Q3. 歯の治療に長い期間かかるのはなぜですか?


A.  軟組織の反応をコントロールする必要があるからです。

  歯は硬い組織ですが、その内部や周りには「歯髄(一般的には神経と呼ばれています)」や「歯周組織」という軟組織が存在しています。
むし歯や歯周病を治療する為には、これら軟組織の治療に対する反応を正確に把握すると共に上手くコントロールすることが必要不可欠なのですが、この軟組織の反応というのは我々の都合で早くしたり遅くしたりすることはできません。
  この為、治療期間が長くなる傾向が生じるのです。



Q4. 歯の治療には、なぜお金がかかるのですか?

A.  コストと歯科医療従事者が担う責任の大きさが反映されています。

  歯の治療に限らず、人の体の治療には人体に有害でないことが証明されている薬剤・材料を用いなければなりません。
また、口の中は、熱いものや冷たいもの、甘いものや酸っぱいものなど、多種多様な飲食物が入ってきます。このように温度やpHの変化が激しい状況で長期間安定かつ人体に無害な材料を開発する為には、長い時間と多くの労力が必要になります。この為、医療用の器具・材料は高価なものが多いのです。
  さらに、歯は複雑な形態をしていて、しかも、この形態は口腔の様々な機能に関係しています。このような歯の形態を修復・再現することによって失われた機能を回復させることは簡単なことではありません。一歩間違えれば、機能を回復させることができないばかりでなく、さらに悪化させてしまうことにもなりかねません。全身的な悪影響が生じる場合もあります。
  コストと我々歯科医療従事者が担う責任の大きさが、高額とも思える医療費に反映されているのです。
しかし、健康を失ってしまう辛さと比べて頂ければ、決して不合理に高額なものではないことがおわかり頂けると思います。
  もう一つ
歯科の治療費を考える上で重要なことがあります。それは、歯科の治療費は、初期のむし歯の治療費が最も安く、歯が無くなってしまった後でその部分を補う治療費が最も高額になっているということです。
  つまり、むし歯でも歯周病でも、初期の内に治療を済ませてしまった方が予後(治療後の経過)も良く、治療費の大幅な削減が期待できるのです。



Q5. 歯医者さんで診てもらうと、歯科検診の時よりも虫歯の数や治療しなければならない歯の数が増えるのはなぜですか?

A.  歯科検診では、目で見る検査が主体だからです。

  歯科検診の時には、大勢の人の口の中を検査しなければならないこともあって、目で見る検査(視診)が主体になります。この為、時間をかけてじっくりと観察しないと見つけることができない病気は見逃されてしまうことがあるのです。歯医者さんでは、目で見るだけでなく、触ってみたり、光にすかしてみたり、叩いてみたり、いろいろな検査を併用して注意深く虫歯の検査を行います。この為、歯科検診では見逃されてしまった病気を見つけることができ、その結果、虫歯や治療しなければならない歯の数が増えてしまうのです。
  また、歯の周りの汚れを取り除くことによって悪い部分が見つかることもあります。




2. お口の健康全般に関するご質問

Q1. むし歯や歯周病にならないために、一番大事なことは何ですか?

A.  歯磨きを主体とするプラークコントロールです。

  むし歯も歯周病も細菌による感染症です。従って、細菌が感染しなければむし歯にも歯周病にもなりません。むし歯や歯周病の病原菌が最初に定着するのは歯です。口の粘膜は、体の他の部分と同様、上皮という組織によって覆われています。この組織は、定期的に表面から細胞が脱落して新しくなることもあって細菌感染が成立しにくいのですが、歯の表面は上皮のように定期的に新しくなることはありません。この為、細菌感染が成立しやすく、表面に付着した細菌は人為的に除去するしか方法がありません。
  ところが、歯というのは大変複雑な形をしているので、完全にきれいにすることが非常に難しいのです。ご自身で歯を磨くだけでなく、歯医者さんで、フロスの使い方や歯磨きの方法を教わったり、定期的に歯をクリーニングしてもらうことが大切です。
  また、むし歯の場合には、食習慣に気を配ることも大切です。食間を長めに取り、間食には人口甘味料を用いたガムなどがよいでしょう。歯磨の際にフッ素入りの歯磨き粉を用いることも効果的です。



Q2. むし歯や歯周病は誰でもなるのですか?

A.  誰でもなる可能性があります。

  前述したように、むし歯も歯周病も細菌感染症です。従って、細菌感染が成立すれば、誰でもむし歯や歯周病になります。
  しかし、むし歯や歯周病になった後の病気の進み方には個人差があります。遺伝的な一面もありますし、生活習慣の違いによる部分もあるので全ての人が同じような経過をたどるわけではありません。
  まず、予防することを心がけ、生活習慣に起因するマイナス要素をできる限り排除することが大切です。詳しくは、お近くの歯科医師までお問い合わせください。



Q3. 年をとっても虫歯や歯周病で歯が無くならない人はいるのですか?

A.  います。

  前述したように、むし歯も歯周病も細菌感染症なので、細菌感染が成立しなければむし歯にも歯周病にもなりません。また、むし歯や歯周病になったとしても、その進行には個人差があるので歯が無くならない人もいます。
  現在、私達歯科医師は8020運動を進めています。これは「80歳になった時に、自分の歯を20本残すことを目標にしましょう。」という運動です。具体的な注意点などについては、お近くの歯科医師までお問い合わせください。



Q4. 悪い歯をほおって置くと、どうなるのですか?

A.  口の中だけでなく、全身の健康状態にも悪影響を与えることがあります。

  むし歯や歯周病で悪くなった歯は病原菌の巣になっています。この病原菌が血液中に移行し、全身的な健康状態に悪影響を与えることが知られています。
  既に紀元前7世紀頃には、口の中の健康状態と寿命との関係が指摘されていましたし、その後も、悪い歯を抜いたら関節炎や原因不明の慢性肺炎が治った、などという報告が散発的になされている他、心内膜炎という心臓の病気から口の中の病原菌が見つかることはよく知られた事実です。
  ところが、近年、歯周病の研究を中心に、脳・心血管疾患、糖尿病、低体重時出産など、従来は想像だにされていなかったような病態にも口の中の健康状態が影響を与えている可能性が見出されてきました。
  ちなみに、健康状態が悪い口の中では手のひら大に匹敵する感染性潰瘍が慢性的に存在することがわかっていますし、同時に、同じくらいの面積の歯の表面で細菌を育てていることになります。
  興味のある方は、お近くの歯科医師までお問い合わせください。



Q5. 歯が悪いのか歯ぐきが悪いのか、よくわからないのですが、区別する方法はありますか?

A.  あくまでも目安ですが、冷たいものなどがしみる時には歯が悪く、ものを咬んだ時に痛い場合には歯ぐきが悪いことが多いと言えます。

  むし歯や知覚過敏症など、歯が悪い場合には、刺激が神経(歯髄)に伝わりやすくなっていたり、神経(歯髄)が敏感になっていることが多いので、冷たいもの・温かいもの・甘いものなどがしみることがよくあります。これに対して歯ぐきが悪い場合には、歯をかみ合わせたり食事をしたり、歯ぐきに力がかかった時に痛みを感じることが多くなります。しかし、これはあくまでも目安に過ぎません。おかしいと思ったら、自分で判断せず、早めに歯医者さんで調べてもらうようにしましょう。


Q6. 3MIX−MP法で治療を行なうと、むし歯の治療は1度で終えることができ、しかも痛くないのですか?

A. 少し誤解があるようです。


  テレビなどで何度か3MIX−MP法が取り上げられた為だと思いますが、「3MIX−MP法」とむし歯の「無痛治療」といわれている治療法とを混同している方が多いようです。
  
「3MIX−MP法」は、むし歯の治療に抗菌剤を応用する方法で、この方法を用いると従来は神経を抜かなければならなかったようなむし歯でも、神経を抜かずに残すことができる場合があります。実際、この治療法を用いることにより、むし歯の治療を1度の診療で終了することが出来る場合が増えています。しかし、ほとんどすべての治療法について言えることだと思いますが、この治療法にも高い成功率が期待できる場合とそうでない場合があります。この治療法が成功しなかった場合、再び歯が痛くなることが少なくなく神経を取り除く治療が必要になり、結果として遠回りの治療をすることになってしまいます。しかし、このようなリスクを受け止めることが出来るのであれば、行なう価値がある治療法だと思います。
  これに対して、
「無痛治療」といわれている治療法は15年ほど前に確立されたむし歯の治療法で、現在のところもっとも合理的な治療法と考えられており、むし歯に関していえばMinimum Interventionと同様の意味を持ちます。理論的には、恐らく全てのむし歯に「無痛治療」を行なうことが可能ですが、様々な要因により理想的な「無痛治療」を行えない場合もあります。
  3MIX−MP法と無痛治療とは異なるものですが、
3MIX−MP法は無痛治療と併用してはじめてその真価を十二分に発揮すると言っても過言ではないでしょう。
  ご自身のケースについてお知りになりたい場合には、お近くの歯科医師に相談することをお薦めします。



3. むし歯に関するご質問

Q1. なぜ、むし歯になるのですか?

A.  むし歯は細菌感染症です。

  歯に付着したむし歯菌が増殖し、口の中に入ってくる糖質を代謝して酸を産生することにより歯が溶けて軟らかくなり、むし歯が完成する、というわけです。
 予防する為には、1) 歯に付着したむし歯菌をできるだけ早く取り除く、2) むし歯菌が代謝しても酸を産生できないような人口甘味料を使用する、3) 糖質の摂取を少なくする、4) フッ素を用いてむし歯になりにくい歯にする、ことなどが重要です。



Q2. 甘いものが大好きなのですが、歯をきちんと磨けばむし歯になりませんか?

A.  なりません。

  しかし、歯は非常に複雑な形をしているので、自分ひとりの力だけできちんと磨くことが実際には不可能です。定期的に歯医者さんで歯のクリーニングを受けたり、少しぐらい磨き残しがあっても簡単にはむし歯にならない歯にする為に、フッ素応用などをしてもらうとよいと思います。


Q3. 一度治療した歯でも、再びむし歯になることはあるのですか?

A.  あります。

  一度治療した歯は、詰め物と歯の間に接着剤が介在しています。この接着剤の部分は比較的弱いので、ここからむし歯になることが非常に多いのです。つまり、一度治療した歯こそ、治療したことのない歯よりも注意深く歯磨きをする必要があるのです。

Q4. 3MIX−MP法で治療を行なうと、むし歯の治療は1度で終えることができ、しかも痛くないのですか?

A. 少し誤解があるようです。


  最近、テレビなどで何度か3MIX−MP法が取り上げられた為だと思いますが、3MIX−MP法とむし歯の「無痛治療」といわれている治療法とを混同している方が多いようです。
  
3MIX−MP法は、むし歯の治療に抗菌剤を応用する方法で、この方法を用いると従来は神経を抜かなければならなかったようなむし歯でも、神経を抜かずに残すことができる場合があります。この為、むし歯の治療を1度の診療で終了することが出来る場合が増えています。しかし、ほとんどすべての治療法について言えることだと思いますが、この治療法にも高い成功率が期待できる場合とそうでない場合があります。この治療法が成功しなかった場合、再び歯が痛くなることが少なくなく神経を取り除く治療が必要になり、結果として遠回りの治療をすることになってしまいます。しかし、このようなリスクを受け止めることが出来るのであれば、行なう価値がある治療法だと思います。
  これに対して、
「無痛治療」といわれている治療法は最小の侵襲でむし歯を治療する方法で、現在のところ、最も合理的なむし歯の治療法であると考えられています。理論的には、恐らく全てのむし歯に「無痛治療」を行なうことが可能ですが、実際には、様々な要因により理想的な無痛治療が行えない場合も少なくありません。
  ご自身のケースについてお知りになりたい場合には、お近くの歯科医師に相談することをお薦めします。



Q5. 以前、歯の根の治療をしてもらったのですが、何年か経つとまた悪くなることが多いように思います。これは止むを得ないのでしょうか?

A. 止むを得ないという一面もあると思います。

  
歯の根の中には歯髄(いわゆる歯の神経)が入っている管があります。根の治療では、歯髄を取り除いた後に詰め物でこのスペースを埋めるのですが、虫歯を治療した場合と同じように、時間の経過と共に詰め物と歯との間から細菌が入り込んで悪くなってしまうことがあります。また、X線写真で見ると太い管が1本通っているだけの単純な構造のように見えますが、実際には複雑に枝分かれしていて、全てのスペースを完全に埋めることが極めて困難な場合もあります。病気の状態にもよるので一概には言えませんが、治療をして数ヶ月で悪くなってしまった場合はともかく、何年も経ってから悪くなるのはある程度止むを得ない一面もあるのではないかと思います。


4. 歯周病に関するご質問

Q1. なぜ、歯周病になるのですか?

A.  歯周病は細菌感染症です。(*)

  歯に付着した細菌が歯肉に炎症を起こし、やがて炎症が深部に波及して骨が溶けたり歯が抜けたりするのです。

    (*厳密には、細菌感染症ではない歯周病というものも存在しますが、多くの場合、歯周病の発症には細菌感染が大きな役割を演じています。詳細については、歯科医師にお問い合わせください。)


Q2. 歯周病は完全に治るのですか?

A.  治る可能性はありますが、その頻度はあまり高くはありません。

  一度歯周病で破壊された歯の周りの組織(歯周組織)は、炎症が消失した後でも完全に元の姿に戻っているわけではありません。実は、少し、歯周病が再発しやすい形になっているのです。元の姿に戻せる可能性がある治療法もあるのですが、このような治療法は重度の歯周病に適用するのが一般的で、軽度の歯周病には用いられません。
  但し、治癒の仕方には個人差があるので、ごく少数ですが、元の姿に戻る人もいないわけではない、と言われています。



Q3. 歯周病は、一度治った後でも、ほおっておくと再発しますか?

A.  再発します。

  前述のように、一度歯周病によって破壊された組織が完全に元の姿に戻ることは殆どありません。多かれ少なかれ、再発しやすい形になっているのです。また、歯周組織の破壊は、私たち自身が病気として自覚していなくても、少しずつ進んでいる可能性があります。
  再発を防ぐためには、定期的に検査とメインテナンスを受けることが大切です。



Q4. 歯を磨くと、歯ぐきから血が出たり歯ぐきが痛かったりするのですが、このまま歯磨きを続けてもかまいませんか?

A.  例外もありますが、基本的には、歯磨きを続けてください。

  多くの場合、歯を磨いた時に出血したり痛かったりするのは、歯ぐきに炎症が起きているからです。
このような炎症の原因は、歯の表面や歯肉溝(歯と歯肉の境目にある溝)の中にいる細菌です。従って、歯磨きを積極的に行って細菌を除去してしまいましょう。
  歯磨きには、歯ぐきをマッサージする効果もあるので、歯ぐきの血の巡りを良くすることによる治癒の促進も期待できます。
  どうしても痛くて歯磨きができない場合、毛先が軟らかい歯ブラシを用いた方が良い場合もありますので歯医者さんに相談してみましょう。
歯ブラシを歯に当てる力を加減してみることも有効です。
  また、
一部、特殊な疾患(白血病、血友病など)の場合にも、歯ぐきからの出血が見られます。おかしい、と感じたら、直に最寄の歯科医師や医師にご相談ください。


Q5. 再生療法とはどんな治療法ですか?

A. 病気によって失われた組織を、失われる前と同様に再構築する治療法です。


  過日、某報道番組でも取り上げられましたが、歯科では歯周病によって失われた歯周組織(歯を支える骨や歯と骨の間にある座布団のような役割をする組織)を再構築する治療法が歯周組織再生療法としてよく知られています。この治療を行うことによって、大きく失われた歯周組織をかなりの程度にまで再構築することが可能ですが、その成功率(再生が可能か否か)やどの程度まで再構築できるかは、失われた部分の大きさや形、生活習慣によって大きく左右され、また、個人差もあるようです。

  一般的な歯周組織再生療法としては、大きく分けて
膜を埋め込む方法と薬剤を用いる方法の二つがあり、いずれも外科手術が必要ですが適応症や手術後の管理には若干の違いがあります。また、膜を埋め込んだ場合、これを取り除くための二度目の手術が必要なこともあります。
  再生に要する期間ですが、
X線で再生が判別できるようになるまで、最短でも膜を用いた場合で4ヶ月程度、薬剤を用いた場合で半年程度が必要です。
  この治療法の問題点として、術式が繊細で難しいこと、手術後に細やかな管理が長期にわたって必要なこと、成功を妨げる要因が多数存在すること、保険適用外なので治療費が高額なこと、などがあげられますが、ある程度の成功率が期待でき、かつ、長期にわたる継続的な制約という問題をクリアできる場合には行うべき治療法であると思います。

  現在、歯科における日本の再生医療は世界の最先端のレベルにあり(2004年4月現在)、近い将来(早ければ数年後)には、現在は再生をあまり期待できないようなケースでも再生が可能になること、再生に要する期間や治療の成否を判定するまでの期間が大幅に短縮されることなどが予想されます。

  生活習慣病の一つでもある歯周病は長期にわたる継続的な治療やケアが必要な場合が多く、これには時として強い意志と忍耐が求められますが、現在グラグラの歯でも自分で判断して諦めずに勇気を持って受診されることをお薦めします。
  治療にかかる費用など、詳細についてはオフィスまでお問い合わせください。


  * 当オフィスでの治療例をご紹介します。

               術前                        術後約8ヶ月
                
            ↑                             ↑

    奥歯の根の先にまで達する歯周ポケットが、骨ができることによって浅くなっていることがわかります。(↑)


Q6. 歯周病は薬を飲むと治ると聞いたのですが、本当ですか?

A. 一概に治るとは言い切れません。

    これは、歯周病の内科的治療(抗菌剤を内服して歯周病を治療する方法)についての質問ですね。

    かなり以前から、「風邪などで抗菌剤を飲んだら歯周病が良くなった(抗菌剤で風邪が治るわけではありません)。」という話は散発的にあったのですが、近年、学問的にも確固たる評価を得て、この「歯周病の内科的治療」が、2006年には日本の学会
でも大きく取り上げられました。

    
歯周病の場合、症状の重さに関係なく、初めに行う治療(基本的治療)についてはほぼ一致しています。この基本的治療で、症状が十分に軽快する方も少なくないのですが、軽快しない方もいらっしゃいます。歯周病は、(生活習慣病という見方もできますが)基本的には細菌感染症なので、このような方について、どんな細菌がいるのかを検査してみると、この基本的な治療があまり効かないタイプの細菌が感染していることがよくあります。このような細菌に対して、特効性がある抗菌剤を内服すると、除菌されて劇的に症状が改善することがあるのです。これが、歯周病の内科的治療と言われている治療法です。

    この歯周病の内科的治療を行うことによって、基本的治療では病状の安定が得られなかった方も
病状の安定が得られることが多くなった他、手術が必要な程に進んでしまった歯周病の場合でも、内科的治療を行わなかった場合に比べて、歯周組織再生療法など歯周外科手術の成功率が明らかに高いことがわかってきました。

    非常に素晴らしい治療法ですが、いくつか
注意しなければならない点があります。
    この内科的治療で使用する薬剤は、狙った細菌には特効性がありますが、他の細菌にはあまり効き目がありません。この為、細菌検査を行わずに闇雲に用いると、様々な
細菌のバランスを崩してしまい、予想外の別の細菌感染症を併発することがあるので、細菌検査が不可欠です。

    また、この治療法によって得られた病状の安定は、
歯周病の治癒の一つの形と考えられなくもないのですが、油断をすると歯周病が治療前の状態に戻りやすい、という一面を持っています。この為、歯周病の治癒というよりは、より永続性が高い治癒の形を手に入れる為に行う様々な外科処置の前準備と捉えたほうが良いのではないか、という意見も少なくありません。重症の方が、内科的治療により症状が軽快した場合には、よりこまめに定期的な検査とお掃除を受ける必要があると思います。
    
細菌検査は保険適用外なので費用がかかりますが、歯周病でお悩みの場合には是非受けていただきたい検査です。

  
 過日、国による混合診療の規制は法律違反との初の司法判断が出ましたが、今後の動静を注視する必要があります。




5. 親知らずに関するご質問

Q1. 親知らずが生えてくる人と生えてこない人がいるのはなぜですか?

A.  親知らずが生えるスペースがある人とない人がいるからです。また、最初から親知らずがない人もいます。

  親知らずは一番最後に生えてくるので、それまでに生えた歯が顎の全てのスペースを占めてしまうと親知らずは生えてくることができず、斜めや横になった状態で顎の中に留まることになります。
  時々、このように留まっていた親知らずが、年をとってから顎の骨が小さくなった結果、相対的に顎の外に顔を出すこともあります。
  また、最初から親知らずがない人もいます。


Q2. 親知らずを抜く人が多いのはなぜですか?

A.  メリットとデメリットを比較した場合、デメリットの方が大きい場合が多いからです。

  咬み合わせにあまり関係がない上、口の奥の方に位置している為にしっかりと磨くことが難しく、むし歯や歯周病になりやすいからです。また、咬み合わせに悪影響を与えている場合も少なくありません。このような理由から、以前は親知らずを抜く傾向にありました。
  現在でもこの基本姿勢は変わっていませんが、他の歯と同じように生えてきた親知らずに関しては、プラークコントロール(歯磨きを主体とする歯をきれいに保つ方法の総称)がしっかりとできる場合には抜かないことも多くなりました。これは、歯を移植する技術に進歩のきざしが見えることとも関係があります。他の歯が無くなった時に、親知らずでも自分の歯を移植することができればこれに越したことはありません。
  現在のところ、移植の成功率や予後は決して良いとはいえないのですが、このような可能性も考えて親知らずを抜かないケースも増えてきています。
  また、完全に埋まってしまっている親知らずも、埋もれている状態にもよりますが、急いで抜く必要はない、というのが一般的な考え方です。これは、このような親知らずを抜くのが中々大変な手術で、親知らずを抜くことにより得られるメリットに比べて患者さんの肉体的、精神的負担が大きいからです。
  しかし、顎の骨の中に親知らずが埋まっている場合、この部分の顎の骨の強度が低下し、大きな衝撃が加わった時に折れやすくなる傾向があります。格闘技や接触プレーが少なくない球技など、顎顔面に強い衝撃を受ける可能性がある方などの場合は、先に抜いておいた方がよい場合もあります。
  この他、あまり多くはありませんが、埋もれている親知らずが原因で新たに病気ができることもあります。急ぐ必要はありませんが、先に行うべき治療が終わったら負担を十分に考慮し、抜ける時に抜いておいた方が良いでしょう。



6. お子様に関するご質問

Q1. 小児の歯磨きは大人と同じでいいのでしょうか?

A.   基本的な磨き方は同じですが、お子様の場合には、年齢に関連した少し異なる注意点があります。

1. 年齢別の注意事項

1歳頃まで  : 

 乳歯の前歯がはえてくる時期です。
 人工乳によっても母乳によっても歯は汚れるので、寝る前にお子さんをお母さんの膝の上で仰向けに寝かせ、水を少し含ませたガーゼやカット綿を用いて歯の表面の汚れを落として上げましょう(寝かせ磨き)。
歯ブラシを使うのは、上下の前歯が全て生えそろってからにしましょう。


1〜2歳まで : 

 乳歯の奥歯と糸切り歯が生えてくる時期です。これまでと同様、寝る前に寝かせ磨きをしてあげましょう。
 奥歯が生えてきてからは、歯ブラシによる歯磨きが必要になります。
 この時期になると、歯ブラシを口に入れることに興味を示すお子さんもいます。遊びの延長のようなものなのですが、「毎日歯磨きをする。」という習慣づけの前段階という意味合いもあるので、事故などが起こらぬように十分気をつけながら、できる限り好きなようにさせてあげましょう。但し、あまり長時間好きなようにさせておくと、歯ブラシをしゃぶる悪い癖がついたり、そのために歯並びが悪くなったりすることがあります。また、この後、お母さんがきちんと磨いてあげることが必要です。嫌がったり泣いたりすることも多くなる時期ですが、根気よく続けましょう。
 2歳頃からは、食後に「ブクブクうがい」をすることも覚えさせましょう。後々、歯磨きをする時間が無くても「ブクブクうがい」をする習慣をつけることができます。


2〜3歳まで :
   

 一番奥の乳歯が生えて来て、乳歯が生えそろう時期です。
 お子さんが歯磨きに興味を持ち、自分でやりたくなる時期です。この場合には、お子さんに歯磨きの仕方を教え、自分でやらせるようにしましょう。
 お子さんが自分で磨いた後、お母さんがもう一度磨いてあげること(仕上げ磨き)が必要です。「寝かせ磨き」か、膝の上でお子さんの上体を起こして磨いてあげましょう。


3〜5歳まで :

 ブラッシングが習慣として身につく時期です。しかし、お子さん自身の磨き方はまだ十分ではないので、習慣づけを確かなものにするためにも、一生懸命に仕上げ磨きをしてあげましょう。この時期、「寝かせ磨き」は止め、お子さんを立たせた状態で正面あるいは後ろから磨いて上げましょう。
 5歳頃になると磨き方が上手くなってくるので、磨き残しの点検などを行い、磨き方の良い点と良くない点を教えてあげることもよいでしょう。歯医者さんに連れて行き、歯垢染め出し液で染色してもらい、その結果を見ながら歯磨きの仕方を教わることも効果的です。

   
 各年齢ごとに、適切な方法で歯磨きを行い、その習慣を少しづつ確立していきましょう。
 この他、各年齢に共通した「子供の歯磨き」に関する注意事項があります。これらについても留意しながら、お子さんの歯磨きを進めていきましょう。



2. 各年齢に共通する注意事項

1) 歯ブラシの動かし方

 歯ブラシの動かし方には、毛先を用いて磨く方法や毛の脇腹を用いて磨く方法など、様々な方法がありますが、子供の歯磨きでは「簡単で効果的な方法」を選ぶことが重要です。一般的には、スクラッビング法、フォーンズ法(前歯に有効)、ローリング法(学童期以後に推奨)などが用いられていますが、ここでは、最も基本的なスクラッビング法についてご説明しましょう。

(1) 基本 :
 基本は、歯の面に歯ブラシを直角に軽くあて、歯ブラシの頭が5〜10mm程度動くように小刻みに動かすことです。ちなみに、毛先の動きはもっと小さくなります。

(2) 実際 :
 実際には、奥歯の舌側は直角にあてることが無理なので、45度程度の角度をつけてあてることになります。
 また、他の部位でも45度程度の角度をつけて磨いてあげると、歯肉近くの汚れを歯肉を傷つけることなく効果的に取り除くことができるので、頬側も舌側も45度程度の角度をつけて歯の面にあてることが多いようです。
 咬み合わせの面は、基本どおり、直角にあてて磨きましょう。
 下顎の前歯の舌側は、歯ブラシを縦に用いて汚れをかき出すように取るのもよいでしょう。

(3) 磨き方のポイント :
 お子様のお口にあった大きさで、毛の硬さが「普通」の歯ブラシを用いる。
 ペングリップで握る。(力を入れすぎることが少ない)

(4) 長所 :
 咬み合わせの面、歯肉に近い部分を含めて、清掃効果が高い。
 単純な動きの小刻みな繰り返しなので、歯ブラシの操作が簡単。
 全ての部位に応用が利き、誰にでも可能。

(5) 短所 :
 力を入れすぎると、歯肉を傷つけたり、歯肉が退縮する(痩せる)ことがある。
 歯ブラシの頭の動きが大きくなると、歯肉に近い部分が磨り減って冷たいものがしみるようになる(知覚過敏症)。
 隣の歯と向かい合う面(隣接面)や、歯肉に隠れている部分の汚れは取りにくい。


 ペングリップを徹底したり、隣接面についてはデンタルフロスを併用する、などにより短所を補い、スクラッビング法の優れた長所を生かして乳歯のむし歯予防・歯磨きの習慣づけを成功させましょう。
 また、お子さんがある程度大きくなったら、この歯磨きだけでは十分ではないことも、機会を見て教えてあげましょう。


2) お子さんが歯磨きを嫌がる場合に、考えなければいけないこと

 先に、「お子さんが歯磨きを嫌がる時期がありますが、根気よく続けましょう。」と書きましたが、お子さんが歯磨きを嫌がる場合には、歯ブラシが歯肉や口の中の粘膜を傷つけている場合もあります。
 お子さんの頭をしっかりと固定するために、お母さんはお子さんの後ろに位置し、前から覗き込むようにしてお子さんの口の中を見ながら歯磨きをしてあげる、というのが基本的な体位ですが、ともすれば口の中が見づらい体位でもあります。頭を固定する側の手で唇や頬が視界を妨げないようにしましょう。
 特に、奥歯を磨く時には力が入りがちで、歯肉を傷つける可能性も高くなります。この場合には、歯ブラシの毛の束のうち半分程度を咬み合わせの面に乗せ、残りの毛を45度の角度で歯の面にあてるようにしましょう。咬み合わせの面に乗せた毛の束がストッパーの役割を果たし、残りの毛が歯肉に強く当たるのを防いでくれます。
 お子さんのお口の中は、大人以上にデリケートです。歯を磨いてあげる時にも、無理な力は加えず、できるだけ自然に近い状態で磨いてあげましょう。歯磨きとは関係のない部分には、出来るだけ触れないようにすることも大切です。


3) 歯磨きの効果を高めるために

 せっかく歯磨きの習慣づけが成功しても、他の要因によってその効果が減弱されてしまうのは残念です。歯磨きの効果を高めるために、次のことにも注意しましょう。

 (1) 哺乳習慣は1歳6ヶ月を目安に止める。
 (2) 甘い飲料(ショ糖などを含む飲料)の哺乳瓶による摂取はさせない。
 (3) 甘味のある食物・飲料を自由に与えることを極力避ける。
 (4) おやつには必ず水分を一緒にとる習慣をつける。

 この他、歯科医院でフッ素塗布や予防填塞処置を受けるとよいでしょう。フッ化物の歯面塗布は歯が生えて間もない頃の方が効果的ですが、直接塗布する方法の他に、電気的にフッ素イオンを導入する方法もあります。いずれの方法も、むし歯になる前に行うようにしましょう。乳歯や生えて間もない永久歯はむし歯になりやすく、また、むし歯が深く進行しやすいので、特別な注意が必要です。
 子供のむし歯は、口の中に影響するだけでなく、全身的な疾患の原因になり得る他、心理的に良くない影響をお子さんにもたらす可能性があります。十分に気をつけてあげましょう。   


7. その他のご質問

Q1. 口が臭いとよく言われるのですが、歯磨きをすれば臭くなくなりますか?

A.  臭くなくなる場合もあります。

  歯垢中に存在するガス産生菌は口臭の原因の一つです。このような場合は、歯磨きをきちんと行うことにより口臭は消失します。
  しかし、口臭の原因はこれだけではありません。むし歯や歯周病、あるいは胃や咽喉に問題がある場合もあります。このような場合には、原因疾患を治療することが必要です。



Q2. 歯並びは遺伝しますか?

A.  遺伝による影響も少なくありませんが、それだけではありません。

  歯並びには顎の大きさと歯の大きさの比率が大きく影響します。一般的に、歯に関しては先天的に決められている範囲が大きく、歯の大きさも例外ではないのですが、顎の大きさは発育環境にも大きく左右されます。
  また、指しゃぶりなどの悪い癖(悪習癖)が、顎の骨や歯列の成長・発育に悪影響を与えることも少なくありません。
とはいえ、両親や親戚に同じような歯並びの人が多い場合、発育環境や悪習癖に気をつけるだけで歯並びを改善することには無理があります。お心当たりの方は、一度、歯科矯正専門医か小児歯科を受診されることをお勧めします。
  特に、乳歯が永久歯に生え変わる時は、永久歯の歯並びを整えるチャンスでもあります。この時期(6歳ごろ、下の前歯や乳歯列の後ろに永久歯の奥歯が生えてくるのが目安です)になったら、早めに受診してみてはいかがでしょう。



Q3. 歯を抜いた後、顎に開いた穴はどうなるのですか?

A.  穴の中に骨ができてその上を粘膜が多い、他の部分と同じように治ります。

  歯を抜いた穴には、まず血液が溜まって固まります。この後、骨に置き換わりその上を口の中の粘膜が被うようになります。順調に治る為には、血液の塊が穴の中に定着することが重要です。血液の塊が脱落してしまうと、骨ができずに激痛を伴う乾燥した穴となって残ってしまいます。歯を抜いた後、穴を舌で触ったり、つついたりせず、血液の塊が定着するのを邪魔しないよう、できるだけそっとしておいてあげましょう。


Q4. 電動歯ブラシを使うと、手で磨いた時よりも汚れを効果的に落とすことができますか?

A: 長所と短所があり、一概には言えません。

  ブラッシングでは、毛先が磨きたい場所にきちんと当たっていることが重要です。歯ブラシをどんなにきちんと操作しても、毛先が当たっていない部分は磨くことができません。また、毛先がきちんと当たっている場合でも、磨きたい場所によって、効率よく汚れを除去できる毛先の動き方は異なっています。
  電動歯ブラシでは、毛先の動き方が一定である他、大きく動く毛先が当たっている場所を把握することが困難な場合が多いようです。また、電動歯ブラシのヘッド(毛が植えてある部分)は手用歯ブラシのヘッドよりも大きいことが多く、奥歯の後ろの方などの狭いスペースに歯ブラシを入れることが困難な場合も少なくありません。
  電動歯ブラシを用いると毛先がきちんと当たっていて効果的な動き方をしている場合には、確かに大変きれいに磨けるようです。が、以上のようなことを踏まえると、
電動歯ブラシだけで口の中全体をきちんと磨くことは難しいと思います。手用歯ブラシを併用し、電動歯ブラシで磨けない場所や磨き残しやすい場所をカバーするようにすると、電動歯ブラシの持つ長所を有効に利用できるでしょう。その際、磨き残しやすい場所を自分で確認することは非常に難しく、また、その判断が不正確だった場合には、むし歯の他に歯ぐきの特定の部位だけで歯周病が高度に進行してしまう危険性もあります。磨き残しやすい場所を歯科医師や歯科衛生士に確認してもらい、その場所をきちんと磨けるようにブラッシング指導を受ける必要があります

  電動歯ブラシの一部には、音波を利用して毛先が当たっていない場所の汚れを落とすことができる、と宣伝されているものがあり、一部の専門家の間では非常に高い評価を受けています。これらの歯ブラシは従来の電動歯ブラシとは区別して評価した方がよいと思われるので、これらの電動歯ブラシ中から「音波の作用で歯ブラシが届いていない部分の歯垢を除去できる電動歯ブラシ」「超音波の作用で歯ブラシが届いていない部分の歯垢とバイオフィルムを除去できる歯ブラシ」を使ってみました。前者は、型式が少し古かったせいもあるかもしれませんが、歯ブラシが大きく細部まで磨くのが困難でした。後者は、動きが我々が教えている歯磨きの方法に近く、確かに汚れがよく落ちるようでした。歯ブラシ自体も安価で小さく、細部まで磨くことも可能なようでした。しかしながら、この歯ブラシにも問題点はあるようです。
   この歯ブラシは歯周ポケットの中まで磨けるといわれている歯ブラシなのですが、問題点の一つは、パワーが強いことです。この為、ある程度進んだ歯周病の方が、いきなりこれを使用することには大きなリスクがあるのではないか、というのが私の個人的な考えかたです。また、この歯ブラシを毎日使用することにも疑問を感じています。現在、同様の手用歯ブラシと普通の歯ブラシの両方をお使いの方の場合には、この電動歯ブラシを上手に用いることによって、同様の手用歯ブラシを使用する頻度を低くすることができるのではないかと考えていますが、具体的な使用方法については個人差もあるようですし、公的に確立されたものではないので、ここではコメントを差し控えたいと思います。私個人のこの歯ブラシに対する考え方をまとめると、
「一種の治療器具と考えた方がよく、皆さん、特にある程度進んだ歯周病の方の場合には、ご自身の判断だけで使用することには多少なりともリスクを伴う可能性があり、手用歯ブラシにもまして歯科医師のアドバイスに従って使用した方がよい歯ブラシ。」ということになります。
   また、この歯ブラシでも、スイッチが入ったままの状態だと毛先がどこに当たっているかを細かく感じることはできません。まず
、スイッチをオフにして歯ブラシを歯にあて、毛先が届いている場所を確認したら、そのままの状態でスイッチをオンにして磨き、磨く場所を移動する時には一度スイッチをオフにしてからもう一度毛先が届いている場所を確認し、再度スイッチをオンにして磨くようにすることで、磨き残しを少なくすることができると思います。
   電動歯ブラシは決して新しい清掃用具ではありませんが、「超音波により毛先が届いていない部分のバイオフィルムまでも落とすことができる歯ブラシ」は、従来の電動歯ブラシと異なる点も多く、登場して間もない歯ブラシといえます。この歯ブラシに対する評価や効果的な使用法が確立されるまでには時間がかかることが予想されます。
   また、新たに良い習慣を確立させる、というのはなかなか難しいことです。現在、手用の歯ブラシできちんとプラークコントロールができている方の場合、敢えて電動歯ブラシを使用する必要はなく、むしろ、電動歯ブラシを導入することによって現在の良い習慣が崩れる可能性に配慮をしたほうがよいでしょう。
   
電動歯ブラシについては、今後も機会あるごとに色々なものを試用し、よりお薦めできるものを探していく予定ですのでお問い合わせ下さい。



Q5. 歯石を取る器具が市販されていますが、自分自身で歯石をとっても問題はありませんか?

A. 危険である上、色々と問題もあります。

  歯ぐきは、歯肉溝よりも深いところで歯の表面にくっついています。このくっつき方(付着の方法)には、上皮による付着と線維による付着の2種類があります。この付着が破壊されると、歯肉溝が深くなって歯周ポケットとなり、この内部で細菌が増殖しやすくなります(もう少し詳しくお知りになりたい方はCURRENT TOPICSのお口の健康と体の健康 −その1−をご覧下さい)。
 
自分自身で歯石を取ろうとするした場合、器具の誤操作でこの付着を壊してしまう可能性が少なくありません。
 また、一口に歯石といっても、簡単に取れるものとなかなか取れないものがあり、強い力を加えたときに器具が滑ったりすると歯肉だけでなく頬や舌を傷つけてしまう恐れもあります。
 さらに、
歯石がついている歯の表面には、細菌感染やその悪影響が生じていることが少なくありません。歯科医師や歯科衛生士が歯石を取る時には、このような歯の表層をも綺麗にしているのです。
 ご存知のように歯は複雑な形をしているので、ご自身の力だけで安全にかつきちんと歯石を取り歯の表面を綺麗にすることは、事実上不可能といっても過言ではありません。
 
どうしても気持ちが悪い、という様な場合には止むを得ない一面もあるかとは思いますので、不必要に歯肉を傷つけないように注意深く、歯肉から離れた部分で簡単に除去できる歯石のみを取り除き、決してそのまま放置せず、後日、歯科医院を受診することをお勧めします。


Q6. 睡眠時無呼吸症候群は歯科で治療できるのですか?

A. 治療できる場合もありますが、医師の診断書が必要です。

  睡眠時無呼吸症候群は、二つのタイプに大別することができますが、このうち歯科で治療できるのは閉塞型というタイプです。睡眠時にマウスピ-スのような装置をつけることにより気道の閉塞を防ぎ、睡眠時無呼吸症候群による様々な悪影響を低減することができます。閉塞型でない場合はマウスピースで治療することができません。この為、事前に医師による診断が必要になります。医師の診断書があれば、歯科での治療は保険適用が可能です。




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